2016年10月14日金曜日

ギザギザを擦って音を出す

打楽器というのは、「打つ楽器」という意味だね。打楽器というけれど、打つだけが打楽器ではない。振ってシャカシャカ音を出すのもある。そして、ここで紹介するギザギザを擦る楽器も打楽器だ。
英語の「Percussion」は、衝撃とか震動とかの意味からきているのだろうから「打つ」に特定されていない。英語のほうが言葉として意を得ているのかもしれない。


ギロ Guiro
ヒョウタンで作ったのが ギロ (guiro) で、竹筒で作ったのが ヘコヘコ (recoreco) らしい。 でもまあ、今ではコケシみたいに木工細工だったり、金属の箱にスプリングを並べたのだったりするので、もともとの材質はどうでもいいかもしれない。
地域や楽曲によってこの楽器の名称は変わるんだろうけど日本ではギロという名前が一般的。
ギロ Guiro
グアチャラカ Guacharaca
 コロンビアの民族音楽であるバジェナートでは必須の楽器。数本の針金を並べたフォーク状のビーターで擦る。

コロンビアにはグアチャラカという鳩くらいの大きさの鳥がいて、その鳥の鳴き声(あまり美しくはない声のようだ)に似るように作ったのだという。
グアチャラカ Guacharaca
ウォッシュボード Washboard
日本にも同じものがある。洗濯板である。
日本では木製だが、アメリカの洗濯板は金属板をギザギザに波打たせてある。 この金属洗濯板が 擦る楽器としていい味を出す。

本来の使い道である洗濯にはほとんど使うことはないのだけれど、楽器としては随分と普及してる。 洗濯用より音楽用だということで Musical Washboard という名称で販売されていたりする。
ウォッシュボード Washboard
ユイ (敔)
古代中国の雅楽で使われていた楽器。トラの形をしていて頭を叩いたり、背骨の出っ張りみたいなギザギザをシュワシュワッと擦ったりする。 厳かな儀式に使われるのであって、一般の楽曲には使われない。現在においては当時の楽曲を模倣するイベントに登場するくらいである。

敔という漢字は「止める」という意味があって、その意味の通り、楽曲の最後だけが出番。楽曲の最後に、頭を3回たたいて、背中を3回擦って「はい、演奏はこれで終わり」という合図になった。 ちなみに、敔 を日本では「ギョ」と呼ぶことになっている。
ユイ (敔 ギョ)
ぼうささら(棒簓)
日本の民俗芸能で使われるパーカッション。
一端を細く裂いた「ささら竹」でギザギザのついた木の棒をこすって音を出す。「すりざさら」とも。

ぼうささら(棒簓)
ラチエット Ratchet
リズムを刻むのは難しそうだ。ギザギザ歯車に薄い板が噛み合ってカリカリカリ・・と鳴る。ちょっとうるさい。
子供の玩具としても用いられるが、歌舞伎の演出スタッフである下座でも使われている。
ラチエット Ratchet